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為替レートに影響を与える貿易、金利、景気、物価に関連する経済指標

 為替市場では、経済指標の結果が発表された直後に、為替レートが大きく動くことがあります。

これは、為替市場に参加している投資家が、発表された経済指標の結果を参考にして、為替レートが将来的にどう動くかについての予想を修正して、その修正した考えに基づいて新たに取引を始めるためだということができます。

では、為替市場に参加している投資家が、どのような考えに基づいて発表された経済指標の結果から、今後の為替レートの値動きを予想するのかというと、それを理解するためには、どんな情報が為替レートに影響を与えるのかを理解しておく必要があります。

為替レートに影響を与える重要な情報として、貿易、金利、景気、物価の4つがあります。


 貿易とは、二国間で行われるモノやサービスの取引のこといいます。そして、モノやサービスを外国から買うことを輸入といい、モノやサービスを外国に売ることを輸出といいます。

日本の貿易黒字は1兆円ということは、日本の輸出額が輸入額より1兆円多いということを意味しています。

また、アメリカの貿易黒字が大きくなっているという場合は、アメリカの輸出額が輸入額を上回っていて、輸出額と輸入額の差が大きくなっているということを意味しています。


 例えば、日本の貿易黒字は拡大して、日本の輸出額は輸入額よりもより大きくなったら、日本の貿易黒字が大きくなればなるほど、日本は外国により多くのモノやサービスの売ったということになります。

つまり、日本が外国から物やサービスを売った対価としてお金を得たことになります。

ただし、外国から得られるお金というのは、当然のことながら、外貨であることが多くなります。

このため、貿易黒字が拡大したことによって、より多くの外貨を得たということになります。

そして、貿易黒字によって外国から得た外貨を日本で使おうとすると、その外貨を日本円に交換しなくてはいけません。

そういった理由から、日本円が買われやすくなり、逆に、外貨が売られやすくなります。

つまり、一般的に、貿易黒字が拡大すると、その国の通貨は高くなりやすくなり、逆に、貿易赤字が拡大すると、その国の通貨は安くなりやすくなるといえます。

貿易の状況を確認するためには、為替市場では貿易収支と経常収支という2つの経済指標に注目する必要あります。

貿易収支とは、モノの輸出額から輸入額も差し引いた額のことです。それに対して経常収支とは、モノの輸出入額だけではなく、サービスや利払いなどの受取額や支払額も対象としていて、貿易収支よりも広範囲で、外国とのモノやサービスの取引についての収支を出したものです。

経常収支の方が貿易収支よりも広範囲なので、為替に与える影響は経常収支の方が大きくなります。

しかし、経常収支は、広範囲なため貿易収支と比べて発表されるのが遅くなり、金融の取引状況やサービスが物の動きと連動している傾向にあるので、為替市場では、経常収支よりも先に発表される貿易収支に注目する傾向があります。


 金利とは、お金を貸した時に受け取る利益の割合や、借金をした時に支払うコストの割合のことをいいます。

例えば、銀行が企業に対して100万円を1年間貸して、1年後に企業が銀行に借りたお金を返した時に、1万円を支払ったとします。

これは、お金を貸した銀行が、貸したお金以外に1万円を受け取ったということになります。

この場合、企業が100万円以外に支払った1万のことを利息といい、銀行が借りるお金の額、つまり元本に対する利息の割合のことを金利といいます。

つまりこの例では、金利が100万円に対する1万円ですから1%となります。

 次は金利と為替の関係についてなんですが、日本の金利が上昇したとすると、銀行預金の利息も今までの何倍も増えることになります。

そうすると、日本の銀行に預金することが有利になってくるので、多くの人が預金をするようになります。

これは日本に住む人だけでなく、外国に住んでいる人にとっても同じことが言えるので、保有している外貨を日本に交換して、日本の銀行に預金する人が増えるようになります。

つまり、外貨が売られて、日本円は買われることが多くなるということです。

このようなことから、金利が上昇すると、その国の通貨が買われやすくなるということがわかります。

これは、日本だけではなく、アメリカやイギリスなどの諸外国にとっても同じことがいえます。

金利の現在の水準や金利が上昇しているのか、あるいは下降しているのかについて確認をする方法としては、銀行預金の金利を確認することが1番重要です。

例えば、日本であれば、日本の銀行に行って、普通預金や定期預金を見ることで、日本の金利の状況を確認することができます。

そして、外貨預金の金利を見ることによって、日本と外国との金利差や外国の金利の状況を確認することができます。

ただし、銀行が提示している金利というのは、各銀行の事情によって決められているものなので、なるべく為替市場に参加している投資家が注目している金利を確認した方がいいでしょう。

為替市場に参加している投資家が注目している金利は、政策金利と言われるものです。

これは、世界各国の中央銀行が設定している金利のことで、国際の利回り、貸出金利、銀行預金金利などで、政策金利の動きを調ることによって、世界各国の金利の状況を把握することができるようになります。

政策金利の名前は国によって異なっていて、日本の場合では、政策金利は無担保コールレートのことで、外国でもいろいろな名前が付けられています。

ただし、日本では外国の政策金利については、ほとんどが日本語で政策金利と言われることが多いので、特に外国の政策金利の名前を覚えておく必要はありません。


 景気とは、経済活動全体のことを意味しています。したがって、景気が良いという場合は、経済活動が活発であると言うことができます。

そして、経済活動が活発になることによって、お金が多く使われるということになります。

つまり、日本の景気が良くなった場合には、経済活動が活発になるので、日本円はより多く使われることになります。

これは、日本に関わるビジネスをしている外国人にとっても同じで、日本の景気が良くなることによって、より多くの日本円を必要とするので、外国人が保有している外貨を日本円に交換することが多くなります。

世界各国の景気を確認するためには、まず初めにその国のGDPを確認します。 GDPとは、国内で生産された物やサービスの付加価値の合計で、 GDPが拡大することによって、その国の景気は良くなり、 GDPが縮小したり、拡大していても勢いが落ちている場合には、その国の景気が悪いと判断することができます。

ただし、 GDPは毎月発表されているものではなく、四半期つまり3ヶ月ごとに発表されて、対象となる期間も3カ月間になります。

また、 GDPは発表されるのが遅くなる傾向があり、日本のGDPが発表されるのは、対象時の期末から見て翌々月の中ごろになります。

例えば、 1月から3月期のGDPは5月の中ごろに発表されるということになります。

このようなことから、為替市場では世界各国の景気を見るために、 GDPだけではなく景況感調査という経済指標にも注目しています。

景況感調査とは、企業経営者や企業の購買担当者に、景気に関する質問をアンケート調査によって行うことです。

企業経営者や企業の購買担当者というのは、自身で行っているビジネスの状況や、モノやサービスの流れを実感しているので、景況感調査の結果は、各企業の経済活動の状況を表しているということができます。

そして、各企業のアンケート調査の回答を集めることによって、企業全体の経済活動の状況を知ることができるので、景気を知ることができるということになります。

世界各国の景況感調査は、国によって調査の名称や調査をする組織や期間が異なっています。
例えば、日本の調査名は日銀短観で、調査機関は日本銀行、アメリカの調査名はISM製造業景気指数で、調査機関は全米供給管理協会、ドイツの調査名はlfo景気指数で、調査機関はlfo経済研究所、イギリスの調査名はCIPS製造業指数で、調査機関はイギリス購買部協会です。


 物価とは、モノやサービスの値段のことをいいます。また、物価は値段という水準だけではなく、変化で考えることもできます。

日本の物価が上昇した場合に、同じ製品を買う場合には、日本で売られているものを買うよりも、外国で売られているものを買って日本に送った方が安く手に入れることができます。

日本に住んでいる日本人が外国で買い物をする場合には、日本円を持っている人は、日本円を売って外貨を買うために、日本円を外貨に交換する必要があります。

それによって、日本の物価が上昇すると日本円が売られてしまうので、他の通貨に比べて安くなるということができます。

このように、その国の物価が高かったり、物価上昇率が高くなればなるほど、その国の通貨は売られやすくなるということができます。

物価の状況を確認するためには、PPIと言われる生産者物価指数とCPIと言われる消費者物価指数を確認する必要があります。

生産者物価指数は、モノとサービスが生産される段階での物価のことをいいます。生産者物価指数は金額ではなく指数で示されています。

消費者物価指数は、消費者が買うモノとサービスの価格を意味していて、消費者物価指数も生産者物価指数と同じく、金額ではなく指数で示されています。

日本では、消費者物価指数は2000年の平均値を100とした指数になっていて、ある月の消費者物価指数が110となっていれば、その月の物価は、2000年と比べて10%高くなっているということができます。

生産者物価指数と消費者物価指数は、世界のどの国でもほとんど同じ名称が使われています。

ただし、日本の場合には、生産者物価指数に代わる名称として、企業物価指数という名称が使われていますので、その点については注意しておく必要があります。

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